Project Story
Land Bageri
暮らしの起源としての洞窟にクラフトマンが集い、
ここでしか味わえない空間・食体験をプロデュース。
Story
「Land Bageri」は、博多駅前に新しく誕生した明治公園の一角にオープンした、昼はベーカリー、夜はカジュアルなパンビストロとして、一日を通して多彩な表情を見せるお店。福岡を代表するベーカリーpain stockの平山氏を中心としたクラフトマンが集い、土・石・植物といった素朴な自然素材に包まれた空間で、ここでしか味わえない食体験を届ける。マンション開発を主軸とするLANDICが、街の“暮らしの原点”をプロデュースする。
本ストーリーでは、現場でパン作りと料理に情熱を注ぐヘッドシェフのガク、秀徳にインタビューを実施。プロジェクトの背景から、素材や製法への愚直なこだわり、パンを通じて街や人と繋がるための挑戦の裏側に迫る。
プロジェクトのはじまり
まずは自己紹介をお願いできますか?
ガク ベーカリーでのヘッドシェフを担当するジョ・ヨンガクです。韓国出身で、東京の製菓学校を卒業後、一度韓国に帰国。日本と韓国におけるパン文化の違いを感じ、再度日本にやってきました。東京でベーカリーのシェフを経て、平山さん(pain stock)のパン哲学に共感してLand Bageriへやってきました。福岡という新天地で、建築家・佐々木慧さん(axonometric Inc.)が用意した「洞窟のような空間」にマッチする最高のパンを届けるため、日々パンと向き合っています。
秀徳 ビストロ担当の秀徳です。東京のビストロや和風フレンチの副調理長を経てLand Bageriに参加しました。イタリアンやフレンチの型に捉われず、「パンを活かす」アラカルト料理を提案しています。ガクさんの作るパンと対話しながら、この空間にしかない食体験を追求しています。


背景とコンセプト
改めて、Land Bageriのプロジェクトが発足した背景とコンセプトについて教えてください。
ガク 暮らしを見つめてきたLANDICが、その大切なパーツでもある食の分野にフォーカスして、食の原点を感じさせつつ新たな文化を生み出そうとスタートしたのが、この店です。街づくりと暮らしづくりをしてきた会社が、福岡の食文化をつくってきたpain stockの平山さんとタッグを組みました。平山さんからお声がけ頂き、その熱い想いとプロジェクトのスケール感に惹かれて、僕もこのチームに飛び込みました。
秀徳 この事業の説明を受け、私自身もハッとさせられた一人ですが、食べることって、人類の歴史そのものだと思います。そこにスパイスを加えて新たな業態の飲食店にしてしまう、LANDICという会社らしさと、集結したクラフトマンたちの想いに自然と惹かれていきました。単に「美味しいパンを売る店」ではなく、昼と夜でまったく違う提案をし、食・時間・空間を体験するというコンセプトを聞いた時、シェフとしてすごくやりがいを感じました。昼は香ばしいパンが次々と焼き上がるベーカリー、夜はパンとお酒と料理をゆったり愉しむビストロ。都市の真ん中にいながら、僕たちが作るパンや料理を通して素材の素朴さやぬくもりをダイレクトに届ける——そんな挑戦の舞台に立てることが本当に楽しみでしたね。

プロジェクトの壁とこだわり
素材や製法、そして日常のパンづくりにおいて、シェフのお二人が特にこだわっているポイントを教えてください。
ガク お子様でも安心して食べられる安全な素材選びや、手間暇かけた仕込みを徹底しています。人工的な素材や添加物は極力使わず、本物のバターやチーズ、こだわりの粉や製法を採用しているので、時間が経ってもカチカチにならず、本来の風味を保てるのが自慢です。時間をかけて丁寧に作るからこそ長持ちするし、日々の食卓を支えるパンになると信じて日々焼き上げています。
ルーツは平山さんの哲学ですが、pain stockとは完全に別のブランドです。なので、同じパンは置いていません。この店ならではの良さを作っていきたいですね。
秀徳 ただの料理ではなく「パンを活かす」一皿の提案ですね。日常的に「もっとこんな組み合わせもアリかも」と二人で話し合いながらメニューを練っています。パンを活かすビストロならではの面白さを感じつつも、いつかガクさんに「この料理、パンより主役張ってるね」と言わせるのが僕の裏の目標です。

プロジェクトの中で、特に苦戦したポイントや譲れなかったこだわりはどこですか?
ガク 土や石に囲まれた洞窟のような空間で、遠い昔の暮らしや「大地の恵み」を感じてもらえるようなパンを届ける——そのコンセプトを商品に落とし込む作業と、多品種の仕込みを崩さないオペレーションの両立には苦戦しました。公園を散策するお客様がストレスなく購入できる動線や体制を整えるため、スタッフ全員でギリギリまで試行錯誤しましたね。
秀徳 僕はパンを引き立てつつもお料理としても愉しんでもらうために「料理の引き算と足し算」にこだわっています。イタリアンやフレンチの型に捉われず、パンの個性を活かしながら、一皿の料理として「パンを超えるような驚き」をどう仕込むかに妥協なく向き合いました。私はパン職人ではないので、家でパン作りを実際にやってみたりして研究してます。
これからの未来
Land Bageriが、街や訪れる人にとってどんな存在になってほしいですか?
ガク 「今日のランチはLand Bageriのパンにしよう」「博多に行くから朝ごはんにLand Bageriのパンを買って帰ろう」と、地域の人々の暮らしや食卓に自然と溶け込む存在になりたいですね。子どもからお年寄りまで、誰もが安心して食事をして笑顔になれる、地域コミュニティの温かい拠点になれたら最高です。
秀徳 LANDICが作り上げたこの洞窟のような建築は、佇んでいるだけでどこか落ち着く魅力があります。昼間の賑やかな公園から一転して、夜は自然の温もりを感じる洞窟の中で、パンとアラカルトを心ゆくまで堪能してもらいたい。空間と料理が一つになったここでしか味わえない体験を求め、街の人々が自然と足を運んでしまう場所にしたいですね。

今後、LANDICでどんな仕事をしていきたいですか?
ガク 平山さんから受け継いだパン哲学を軸にしながら、この「Land Bageri」の厨房からさらに挑戦的なメニューを追求していきたいです。季節の地場食材を取り入れたパンや新しい製法にも貪欲にチャレンジして、博多の食文化を盛り上げていきたいですね。
秀徳 この洞窟のような空間や博多の街と向き合う中で、「食は街の豊かさそのものを育むんだ」と実感しています。こういった地域との深い繋がりや空間の意図まで汲み取れる環境を、若い料理人たちにももっと経験させてあげたい。技術の追求だけで終わらない「街を良くする仕事」を体感できる場を一つずつ増やし、心ある料理人が育っていく未来を形にしていきたいです。
対話を重ねる中で見えてきたのは、妥協のない手仕事で「本物の食」を追及するシェフたちの情熱と、食文化を起点に街や人と深く繋がりあおうとする想いだった。
博多の日常を彩る、新たなランドマークとして。
そして、人々の心を解きほぐす潤いの場所として――。
自然の素朴な素材とクラフトマンシップが放つここちよさが、この街を生きる多くの人々の日常に届き、豊かに広がり続けていくことを期待したい。